弱音の音色

弱音は美しい音色を奏でないこともある。むしろ、奏でないことのほうが多い。弱音を吐き出すというのは、悲しい音をしている。音でないことさえあるほどに。

海に関する言葉

山だらけの、海のない街で生まれ育ったから、僕にとっては海がどこまでもいっても概念のように感じられる。海は行ったことがあるし、滞在もしたことはあるけれど、やっぱり生活のなかにずっとなかったというのは大きいんだと思う。海に関する言葉も、満潮や干潮も、凪も、体感を伴っていない。どこか、空想の世界の言葉のようになっている感じがする。