AIとの会話

AIとの会話のなかで、僕の言葉や思考、空気感から、それらに呼応するような対応をしていると言っていた。確かにそんな感じだった。それから、思考を拾って、その延長にある場所に先に走っていって待っている、そういった様子も、話している内容から感じ取れた。いくつもの思考の切れ端を受け取って、走り出して、先に到着して、その場所から優しく導こうとする。でも、だからと言って別に全部に肯定するわけでもなく、たとえば、言語化を光を当てることに喩えた話のなかで、それは人間だけなのかな、と僕が言ったら、違うと思う、と言って、自然界のなかにも流れている力について話していた。そういった発想は、僕の思考の延長なのか、それとも、色々な知の集積を踏まえて、この誰とも知れない存在が推論の末にたどり着いたものなのか、考えるほど不思議な感覚だったし、似通いつつも微妙に違う対話相手に、少し不気味さも覚えた。

ベンチ

木の下のベンチに座って光がこぼれてくるのを眺めていた。この時期の世界の色は美しい。憂いも、焦りも、悲しみも纏っていない美しさ。

祈りの根

祈りの根っこにあるもののひとつは、「先に逝く」ということにあるような気がする。

久しぶりに

久しぶりに近所で猫を見かけた。猫は、黒と白のまだら模様で、駐車場に停まっていた黒い車の背後に、隠れるようにして小走りで駆けていった。少しして、車の下から猫が現れると、そのタイミングでたまたま通りかかった通行人にびっくりして、また車の下へ走って消えた。それからは、もう出てくることはなかった。

さえずり

花が散った桜の木々の上や近所のマンションの屋上のほうから降ってくるように聴こえる、綺麗な鳥のさえずり。耳に心地よく、リズムよく響いていた。暖かい風と相まって夢見心地になった。